誰かが追って来る。

たいてい「下り」は、
階段を使うようにしている。
前の会社は8階に居室があった。
エレベータを待つのも面倒くさいため、
いつも階段で玄関まで降りていた。

それぞれの階にドアがあり、
階段は閉鎖的な空間になっていた。
ただエレベータのように混まず、
ゆったりと降りれるため、
このルートを気に入っていたが、
時より、追われる身になることもあった。

4階ぐらいをゆっくりと降りている時、
上の方の階のドアが開き、
巨人ギガンテスのような
足音が聞こえ始めた。
初めはゆっくりだったが、
やがて自分の降りるスピードを
凌駕するリズムで近づいてきた。

階段は折り返しのため
降りてくる姿は見えない。
何がそうさせるのかはわからないが、
自分も追いつかれないように
スピードを上げて降りていた。

「ドドン、ドンドン、ドド、ドドドド」
基礎工事でも始まったのかと
思えるぐらい、大きな音が
追いかけてくる。

なぜか無意識に
追いつかれないようにしている。
きっと自分の前世は、
サバンナの草食動物だったんだろう

逃げる、逃げる。走る。

1階にたどり着いて、
ドアを開けようとするが、
焦っているため、
PULLをPUSHしている。
冷静になりドアを開け
玄関に飛び出す。
そんなことが何回かあった。

転職してからは
落ち着いた日々であったが、
昨日、同じシチュエーションに
見舞われた。
帰り際、ギガンテスの速度を上回る
ヒールの音が追いかけて来た。
深層の本能がリマインドされ、
反射的に逃げ始めていた。
この会社は階段の角度があり、
折り返しもきつい。
ようやく逃げ切れると思ったが、
玄関の自動ドアの開く速度が遅く、
開く途中で強く肩をぶつけたが、
どうにか撒くことができた。
勝手にやっていたことだが、
安堵感があった。
外はもう真っ暗だった。

今朝、そんな前夜のこともすっかり忘れ、
出社しメールを開けると。
ある連絡が入っていた。

「【件名】本社自動ドアの件について」

うん?

「自動ドアの調子が悪いという
 連絡を受けましたが、
 メンテナス業者から復帰したという
 連絡がありました。
 原因はわかりませんが、
 また何かありましたら
 総務までご連絡ください。」

発信時刻は夜8時半であった。
自分は心の中で土下座した。

居室では、給与体系が変わった
営業の奴らが蹴飛ばしたんじゃないのか? 
とか、
不法侵入者がいるんじゃないか? 
など、不穏な憶測が飛んでいた。

・・・・・・・・・・・

今日は満月。
すごく綺麗だった。
明日も頑張ろう。

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