Snow

=眠れていない日々が、
 少しでもなくなるように祈っています=

会長(本部長)とオヤジ(部長)達の
話し合いが終わった。

ついにオヤジたちの不満が
会長を突き動かしたのだ。

そう、どこの部署も出社しないと
仕事にならなくなっていたのだ。
コロナだからと言って、
引き下がっていたのでは、
血の気の多い組員たちが
何をしでかすかわからない。
そうなるともう

戦争だ。

話し合いでオヤジたちは、
やり合うことはなかった。
組員である自分たちに
投げられたのだ。

すぐに会長付の調整役が
出社希望日をスケジューラに
書けと言ってきた。
自分がいいように調整すると
言わんばかりに。

会長直下を名乗る西の組は
最近組員が辞め続けているものの、
パワハラオヤジの勢力は派閥最大だ。
後ろ盾がある以上、
そこの組員たちは強く出てくる。

しかし東の派閥も黙ってはいない。
指をくわえてただ見ている
わけにはいかないのだ。
この東西は一触即発、
累卵の危機を迎えていた。

そんな中、我々の組は傘下で最弱。
オヤジの力が一番弱い。
しかしうちらには秘密兵器がいる、
兄弟を西のパワハラ組に
兼任として送り込んでいるのだ。

「どんな具合だった、兄弟」

「アニキ、西のオヤジは
 『コロナのせいにはできねえ』
 と言ってやした」

やはりそうか。

どうせ会長は、自粛で動けなかったことも
時間が経てば忘れちまう。
「何でできなかったんだ!」と
怒鳴り散らすに決まっている。

さすがだな西のオヤジ、
読んでやがる。

「いいか兄弟、ダメもとで出社希望を書くんだ
 そして多すぎると言われたら、
 オマエは西のマンパワーとして、
 出社すると言え。この弱小組のためにな」

数時間後、記入が全て済んだ。

少ない出社枠、
この「カラの一坪」を巡って
下っ端の組員同士の
戦争が始まる。

調整役がすぐにリモートで
呼びかけて来た

「13日の出社を減らしたい」

出社率を見ると20%を超えていた。
今政府は7割減を要求している。
十分クリアーしているはずなのに
やはり「カラの一坪」はシビアだ。
許されねえ。

「アンタんとこは、派遣とじゃないと
 出社できねえのかい」

西にメスが入った。

「派遣と紙を見ながら、
 確認をしていくので、
 1人じゃ意味がない」

さすが西の虎、
難無く返してきやがった。

次に東の狂犬に銃が
突き付けられた

「アンタはどうなんだい、
 明日じゃダメなのかい」

狂犬と言えども、
まだまだこの世界に入って若い。
調整役のスコーピオンは
次々と痛いところを刺してくる

「わかりました、明日に変更できるか
 オヤジに聞いてきます」

「そうか、いい返事を期待してるぜ」

そしてついに自分の額に
銃口が押し付けられた。

「アンタは連日出社だよな、
 この日を外すことはできるよな」

スコーピオンは、
余裕の笑みを浮かべ
弱小組の「NO!」という
選択肢を消していた。

しかし”棒縞の龍”と呼ばれた
このストライプ好きのオレが
おめおめと引き下がるわけにはいかない。
間を置いた後、
顔を少しづつ上げながら言った。

「答えはノーだ。」

スコーピオンの片眉が上がった。

「何だと?」

「オレのかかえている案件は
 他の誰よりも多い。
 いや、こいつらの案件を
 肩代わりしていると
 言ってもいいだろう。
 それが終わらなかったら、
 西も東も総崩れだ。
 そうなったら、誰が落とし前をつけるだい!
 アンタ!できるのかい!」

スコーピオンは、
銃を強く握りながらも
ゆっくりとオレの額から外した。

「けっ!」

弱小組のまさかの反逆
スコーピオンは納得していなかった。
すぐにでも会長のところに駆け込んで
自分の始末を依頼したかっただろう。

悪いなみんな

「カラの一坪」はオレがもらった。
明日、明後日と出社させてもらう。

ていうか、早く紙を電子化しろよ!
そうすりゃずっと家にいてやるから。


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